化粧品容器メーカーの石堂硝子が、美容オイルの容器動向を分析した。
最近、ファンが急増し、市場での存在感を増している美容オイルの動向と展望に迫った内容だ。
1. 用途の広さで人気を集める美容オイル
最近、女性誌で「美容オイル」、あるいは「オイル美容」といった言葉を目にする機会が増えている。簡単に言えば、オイルを使った肌のお手入れを意味する言葉だが、この美容法がいま受けているのは、さまざまな用途に使えること、そして技術的な進化が目覚ましく、ベタつきが気にならないタイプが増えているからにほかならない。
かつては、使った後にベタベタすると敬遠する女性が多かったが、現在では使用感の良いオイルも少なくない。サラサラ感とオイル1本で複数の用途に使える汎用性の高さが、いま再評価されているのである。
では、オイルは女性たちにどのように活用されているのだろうか。
以下に主な用途をまとめてみた。
・洗顔後の肌に使って化粧水の浸透を促進する
・化粧水や乳液、ファンデーションに混ぜて使用して保湿力を高める
・単体で使って、顔や体のマッサージに使用する
・夜のお手入れの最後に使って、睡眠時の乾燥に備える(冬場)
・シャンプー前に頭皮になじませ、頭皮マッサージに使用する
・ミストに混ぜて化粧直しに使い、化粧のノリを良くする
・爪のお手入れに使用する
このように、頭から足の先まで全身に使えるのがオイルの最大の魅力。オイルそのものに抵抗がある人でも、化粧水やファンデーション、ミストに混ぜて使うといった利用法が可能なため、利用者のすそ野が広いのが特長だ。
オイルはビタミンA、Eや抗酸化物質を含むものが多く、エイジングケアにも効果的、という意識も広がっている。「エイジングケア」というキーワードもオイルの人気を後押ししている要因といえよう。
2. 主流は植物オイル
オイルと一口に言っても、さまざまな種類があるが、いま人気を集めているのは、一部例外もあるが、圧倒的に植物オイルだ。人気のオイルを挙げてみましょう。
・アルガンオイル
・ホホバオイル
・椿オイル
・オリーブオイル
・グレープシードオイル
・ヘーゼルナッツオイル
・マカダミアナッツオイル
・ローズヒップオイル
・ボリジオイル
・バオバブオイル
・馬油
・スクワラン
それぞれに特長があり、個性があるが、注目度では、某人気モデルが雑誌で絶賛し、話題を集めたアルガンオイルがもっとも高い。アルガンオイルは希少性が高く、ビタミンEがオリーブオイルの約3~4倍も含まれてることから「魔法のオイル」とも言われている。
アトピー肌の消炎にも効果的とされるボリジオイルも人気急上昇中のオイルの一つ。乾燥肌に効果的なγリノレン酸を豊富に含んでいるため、敏感肌の女性から注目されているオイルだ。
こうしたオイルのほとんどは、産地で古くから利用され、親しまれてきた長い歴史を持っている。伝統的な民間療法として用いられてきたという背景と、植物への安心・安全志向、そして最新の技術によって抽出された高精度な仕様。これらが植物性オイルの人気を牽引する要因である。
3. 透明感の高い容器が席巻
ここで、マーケットで人気を集めているオイルをクローズアップしてみよう。
女性誌のオイル特集では必ずといっていいほど取り上げられているのが、メイクアップアーティスト系ブランドRMKの「Wトリートメントオイル」。バオバブオイルやアルガンオイルを配合し、肌をやわらかくするオイル層と、角質層をみずみずしく満たすうるおい層をひとつにしたオイルは、スキンケアの最初に使用することを目的に開発された。
サンダルウッドやネロリ油といった心やすらぐ精油を配合したブランドTの「コンディショニングSQオイル」や、ヘーゼルナッツ油やヒマワリ種子油を用いたフランスのクラランスの「フェイスオイルドライ」も人気のアイテム。これらの容器の共通点は以下の通りだ。
・オイルのナチュラルな色を見せる透明なボトル入り
・ごてごてとした演出はなく、フォルムはすっきりシンプル
・キャップもシンプルでプレーンなデザイン
・全体的に植物のみずみずしさが感じられる表現
素材の持味、ナチュラル感、オイルを使ったお手入れによって得られるであろうスリムな体、エイジングケアが行き届いた肌や体を彷彿とさせる瑞々しいイメージ。これらの要素が、人気のオイル容器に見て取れる。「シンプル&プレーンではあるけれど、確かな効果を感じさせる」表現がこのカテゴリーの容器には必須といえそうだ。